浄化槽の清掃ってしないとどうなる?費用・料金など解説

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浄化槽を点検している業者から清掃が必要って言われたけど・・・

しないとどうなるの?

清掃って何をするの?

費用はどのくらい掛かるの?

気を付けておいた方が良い事ってあるの?

そんな疑問にお答えします。

浄化槽の清掃をせずにそのままにしてしまうと・・・困ったことになりかねません。

浄化槽の清掃について、浄化槽業界に勤めて4年、浄化槽管理士の資格もある私が解説します。

この記事を読む事で浄化槽の清掃について理解できて、費用を抑える方法などお得情報を知ることができます。

結論 浄化槽の清掃をしないと詰まって使えなくなったり、悪臭が発生したりと困ったことになるので必要です。

初心者向けに浄化槽の事を解説した記事がありますので、予備知識として参考までに。↓

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目次

浄化槽の清掃とは

そもそも浄化槽の清掃とは、浄化槽内に溜まった汚泥やスカム(汚れ)をバキューム車で引き抜いて洗浄することです。

浄化槽は汚物を処理していく上で汚泥やスカムといった固形物が発生します。

↓図参照

浄化槽 断面図

使用していくとどうしても汚物が溜まっていきます。浄化槽で水を綺麗にして放流はしているのですが、スカムや汚泥といった汚物はバキューム車で引抜清掃が必要になります。

浄化槽を使用する限りバキューム車での浄化槽清掃(引抜)は欠かせません。

浄化槽の清掃方法

地域や会社によって方法が若干変わりますが、基本的にはバキューム車で汚水を引抜ながら、水道水やエンジンポンプ等を使用して槽内を洗浄します。

清掃後空っぽになった浄化槽に水張りをします。

空のままにすると土圧等によって浄化槽が破損してしまう可能性や汚水を適切に処理する為に水張りが必要になります。

水張り方法は、敷地内の水道を使用する場合と散水車で水張りする場合があります。

引抜いた汚水は、処理施設へ持っていきます。

浄化槽清掃ってしないとどうなる?

浄化槽の清掃をしないとどういったことが起きるのか解説していきます。

詰まってしまう

清掃をしないで放置すると高確率でいつか浄化槽内で詰まりが起こってしまいます。

溜まったスカムや汚泥が原因になることが多いです。

詰まりの状況にもよりますが、トイレが流れなかったり、排水が流れずに溢れてしまう可能性があります。

正直これが一番困ると思います。流れが悪い程度なら良いのですが、完全に流れないとなるとトイレが使えないという事なので。

もし、トイレは流れない!?流れが悪いなんて事があれば、浄化槽の点検をお願いしている業者を呼んで解消してもらいましょう。応急処置ができる場合があります。どうしても無理な場合は浄化槽の清掃が必要になります。

すぐに業者が来て対応してくれるとは限らないので、場合によっては数日待つなんてことも。

※浄化槽の種類によってはしっかりと清掃をしていても構造上、詰まりやすい物もありますので、ご注意ください。

↓図のようになる場合があります

必ずしもトイレが流れない=浄化槽が詰まっているのではないので注意しましょう。詰まってしまった時に解消方法や詰まり箇所の特定については↓の記事で解説しています。

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浄化槽の種類によって詰まりやすい物や詰まりにくい物があります。

浄化槽はそれぞれのメーカーが様々な種類の浄化槽を製造・販売しています。

使用頻度にもよりますが、ずっと放置しても詰まらないケースもあります。

悪臭が発生する

浄化槽本体や放流先から悪臭が発生するケースがあります。

清掃をしないことによって、浄化槽本来の処理機能を発揮できず、汚れた水を放流してしまいます。側溝に放流している場合、そこから臭いがするなど近隣トラブルになることも・・・

当たり前ですが、浄化槽も汚れた状態になるので本体からも悪臭が発生します。

↓図のようになる場合があります

浄化槽が破損してしまう

発生した汚泥やスカムによって、槽内が圧迫され浄化槽が破損してしまう可能性があります。

修理箇所にもよりますが、結構な修理金額が掛かってしまいます。

これに関しては経年劣化とかでも起きる現象だったりするので、あくまで可能性の一つとして覚えておいてください。

↓図のようになる場合があります

法定検査で指摘される

年に1回行われる法定検査で年に1回以上清掃していないと指摘されます。

清掃していないことだけならただ指摘されるだけで、罰則の実例はないみたいです。

法定検査については↓の記事で紹介しています。

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浄化槽法第三章第10条によって年1回以上の浄化槽清掃が定められています。

浄化槽管理者は、環境省令で定めるところにより、毎年一回(環境省令で定める場合にあつては、環境省令で定める回数)、浄化槽の保守点検及び浄化槽の清掃をしなければならない。ただし、第十一条の二第一項の規定による使用の休止の届出に係る浄化槽(使用が再開されたものを除く。)については、この限りでない。

浄化槽法 引用

例外として、全ばっき方式は6ヵ月に1回以上の清掃が必要になるのと、休止の届出が出している場合は年に1回以上の清掃が不要ということになります。

ただし、使用が極端に少ない場合も年に1回以上やらなければいけないのか、と言われると正直微妙なところです。別荘とかでほとんど使っていない場合とかですね。家族4人で常住で住んでいる場合は年に1度の清掃で妥当といえば妥当なのかなと感じます。それぞれの家庭の排水頻度や浄化槽の種類によってい浄化槽の清掃頻度が変わります。

近年の浄化槽本体の傾向として、よりコンパクトで複雑な構造となっています。半年に1回以上の清掃を推奨する浄化槽も出てきています。

どれくらいコンパクトになっているかというとざっくり半分くらいの大きさになっているので、半年に1回の清掃でも頷けます。

コンパクトになる事で狭い敷地内での設置ができたり、工事費用が抑えられます。

浄化槽を清掃しないと、色々な面で不都合な事が起きてしまいます。(主に詰まりや臭い)浄化槽の清掃はするようにしましょう。

浄化槽清掃のタイミングと清掃箇所について

浄化槽清掃のタイミングと清掃箇所は浄化槽保守点検を業者に委託している場合、浄化槽の管理士からそろそろ浄化槽の○○の箇所の清掃が必要と伝えられると思います。

業者によってやりとりは違ってくると思いますが、基本的に清掃を了承すれば、その後点検業者が清掃を手配してくれます。始めて清掃の場合は見積りお願いしたり、ざっくりと掛かる費用について聞いてみても良いでしょう。

清掃箇所について、1.2室のみだったり、すべての槽だったり浄化槽の型式や浄化槽内の状況によって管理士が判断します。

あまりおすすめはしていませんが、自分で浄化槽を点検している場合や、自己管理に興味がある方は↓の記事で清掃タイミングや清掃箇所についても解説しています。

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浄化槽清掃業者の選び方

浄化槽の清掃は一般廃棄物の収集、運搬になりますので市町村の許可が必要になります。ちなみに浄化槽保守点検業は許可ではなく登録が必要になりますので、割と起業しやすいのですが一般廃棄物となると許可は中々おりません。

村とか町になると許可されている業者が1社のみなんてこともよくありますので、そもそも選択肢がない場合もあるので注意しましょう。

同じ市町村内で複数の許可業者がある場合も、地域によってなわばり?のようなものがあって、こっちは地区は○○社、あっちの地区は△△社のような暗黙ルールがある所もあるようです。

点検を業者に委託している場合は、どこの清掃業者にするのか案内があると思いますので確認するようにしましょう。

市町村のホームページに業者の記載がある場合がありますので、業者がわからない場合は調べてみましょう。

浄化槽清掃の費用・料金

浄化槽清掃の費用は2万~5万くらいです。(一般家庭の場合)

地域差が激しいのではっきりと金額が言えないのが現状です。

浄化槽を引き抜いた後に持っていく処理施設は市町村や団体で運営していることもあり、料金については公開しているところもあるようです。

料金が適正かどうかはともかく、露骨なぼったくりはあまりない業界のように思えます。その会社に問題があれば許可が取り消されるリスクがあるので。

浄化槽の大きさによって料金設定している場合と、引抜いた実量で料金設定している場合があります。

例えば

5人槽 合併浄化槽 ○○○○○円 単独浄化槽 ○○○○○円

7人槽 合併浄化槽 △△△△△円 単独浄化槽 △△△△△円

浄化槽の人槽と合併、単独ごとに料金設定

引抜単価1㎥(1000ℓ) ○○○○円 

実際の引抜量に応じて料金設定

このような感じです。

「この浄化槽だったらいくら」というパターンと、「引き抜いた量でいくら」というパターンでしょうか。

浄化槽の型式、清掃箇所、安全に作業が出来るかによって、料金が変動しますので、正確な金額が知りたい場合は見積りを出してもらいましょう。高低差がありすぎたり、浄化槽がバキューム車の駐車する場所から遠すぎる場合は通常のバキューム車では吸引できない場合がありますので追加料金には注意しましょう。

基本的にあまり値引きとかはない業界だと思います。その為、費用を抑えるには清掃を頻度を下げるしかありません。

市町村によっては、清掃、点検、法定検査などを一括管理している所もあります。

こんなに費用は掛かるの!?と思っている方は浄化槽と下水道の費用についてまとめた記事がありますので、良ければそちらも参考にしてください。↓

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清掃頻度を下げる為にしておいた方が良い事

「少しでも清掃費用を抑えたい」という方に清掃頻度を下げる方法について解説します。

トイレをしない!!

なんてことは出来ないので、それ以外の方法を紹介します。

汚泥を溜めにくくする方法

●トイレットペーパーを過剰に流さない。

トイレットペーパーを過剰に流されると、溶けにくくなり詰まりの原因にもなります。

浄化槽の管理士にトイレットペーパーの量が多いと言われたら、トイレットペーパーをダブルで使用しているのであればシングルにしてみるなどでトイレットペーパーを流す量を減らすことができます。

また、高級なトイレットペーパー(厚手で触り心地がよい)はお尻には優しいですが、浄化槽には優しくない場合があります。

●トイレのお掃除シートは流さない

トイレに流せるタイプも分解されにくいので、流したら流した分だけ溜まっていきます。

浄化槽に限ったことでないですが、オムツや衛生用品などの異物も流さないようにしましょう。

正直めちゃくちゃ効果があるわけではないのですが、ちりも積もればって感じですかね。そんなことするのは面倒くさいと思う方はそれはそれで良いと思います。

浄化槽の処理に影響するような物は流さない

塩素漂白剤を多量に浄化槽に流してしまうと、汚水処理に影響が出てしまい清掃頻度を上げてしまう原因になります。

油は浄化槽では分解できないのでキッチンペーパー等でなるべくふき取ってからゴミで捨てましょう。

多量に油が出る場合は油を固めてごみとして捨てる事が出来る商品もありますので、それを使うといいでしょう。

また、油で排水管が詰まってしまうこともありますので、注意しましょう。

塩素漂白剤は浄化槽内の微生物を殺してしまうので、酸素漂白剤や重曹、クエン酸などを使用して掃除をするようにしましょう。

一滴も流してはいけない!というわけではないので、適量を心がけましょう。

上記のことを心がけることで清掃の頻度を下げることだけでなく、浄化槽の処理機能が安定することで悪臭の発生を防げたりするので損することはないでしょう。

ただし、契約上例えば毎年○月に浄化槽の清掃をすることが決まっている場合だと清掃頻度を下げられないので注意しましょう。

最後に

浄化槽を清掃しないとどうなるのか。ある程度は理解して頂けたでしょうか。

割と金額がするものなので、しなくても・・・

なんて思うかもしれませんが、トイレが使えなくなったり等の困った事態になりかねません。

とはいえ何年も管理せず、清掃せずでも何とかなっている所もあるにはあります。

「何だ、清掃しなくても良いじゃん」なんて思うかもしれませんが、結果論なだけでギャンブルみたいなものです。

環境衛生的には問題ですが、自分が困らなければそれで良いと考える人や、そもそも浄化槽の存在を知らずに使用している人もいるくらいです。

もっと早く清掃していれば・・・と後悔しないようにしたいですね。

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